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第6回金沢・世界工芸トリエンナーレ
【第6回金沢・世界工芸トリエンナーレ】
公募展「2025金沢・世界工芸コンペティション」、フォーラム「第11回金沢・世界工芸都市会議」、特別展「金沢の工芸の今」展で構成されます。公募展では、世界各国から寄せられた作品の中から特に優れた作品を展示。また、ロエベ財団クラフトプライズ2025受賞作品も併せて展示、工芸の多彩な表情を紹介します。フォーラムでは公募展審査員やゲストとともに、工芸の現在、未来について語り、工芸の持つ可能性を探究します。特別展では、会場近隣のギャラリーと連携し、多様な金沢の工芸を紹介します。
期間:2025年11月8日(土) - 2025年11月26日(水)10:00〜18:00 ※最終日入場は閉場の10分前
会場:金沢21世紀美術館 市民ギャラリーA(1階)市民ギャラリーB(地下1階)
主催: 金沢・世界工芸トリエンナーレ開催委員会
共催: 金沢市、金沢市工芸協会、金沢21世紀美術館[(公財)金沢芸術創造財団]、(一社)金沢クラフトビジネス創造機構
特別協力: 北國新聞社
後援: 総務省、外務省、文化庁、石川県、金沢商工会議所、石川県伝統産業振興協議会、NHK金沢放送局、MRO北陸放送、金沢美術工芸大学
協賛:金沢商工会議所、株式会社北國銀行、日機装株式会社、三谷産業株式会社
協力:ロエベ財団、ミケランジェロ財団

Weaving study:素材へのまなざしと手仕事
展覧会名:Weaving study:素材へのまなざしと手仕事
日程:2025/04/03(木)- 04/24(木)
場所:東北芸術工科大学 本館1階 THE WALL
糸を染め、布を織る分野を「染織(せんしょく)」と呼びます。そのほかにも、染色、テキスタイルデザイン、ファイバーアートなど呼び方は様々ですが、主に繊維を素材として扱う分野のことです。私が19歳の頃、生涯をかけて取り組もうと決めたのもこの染織の世界でした。
工芸の他分野と同様に、染織史を辿れば新石器時代にまで行き着き、人類史と共にある技術です。人が動植物から得た繊維を組織化し一枚の布に織り上げるまでの知性の発達を考えるとそれはきっと革命的なことであったと考えられます。一方で現在では、テキスタイルというとファッションやインテリア分野のイメージが強いはずです。全産業の中で最も環境負荷が高いと言われているファッション業界、大量の布が高く積まれてゴミの山となっている光景を写真や映像でみたことがある人も多いと思います。産業としてのテキスタイルには生産する側の責任も問われています。
そこで参考にしてもらいたいのが工芸としての染織の世界です。手仕事による様々な技法や技術を駆使して制作された布には、モノとしての魅力だけでなく、その背景にある素材や道具、それらを成り立たせている環境、人間の知恵と工夫の歴史が詰まっています。ただ消費される商品ではない、または個人の表現物だけでもない、様々な情報を運ぶメディアなのです。
制作協力
金山杉(板材・加工):金山町森林組合
アイアン什器:Machi-hub
展覧会メインビジュアル
Graphic design:水迫涼汰
Photo:フォトグラファー志鎌康平

独楽撚り道具「づんぐり」
独楽撚り道具「づんぐり」
Completed: 2024/03/24
Material: Wood(Hinoki), Brass
織物工場へ取材する中で、廃材である「ステ耳」の中にも素材として扱うことが難しいものがあることを知りました。同じ廃材でもそのまま糸として織ることが可能だった金襴織物のステ耳と異なり、表装織物などのステ耳は、ふさの部分が短く抜けやすく、手仕事の素材として扱おうにも容易に動いてしまい扱いにくいのです。現在、廃材のアップサイクルは盛んですが、それでも廃材の中の廃材とされるようなそのままでは素材として扱うことが難しいものがあることも確かです。
テキスタイルが出来上がるまでには、糸の段階での撚糸(ねんし)という工程が欠かせません。そこには、そのままでは弱く脆い繊維を強くしなやかにして、織ったり染めたりする作業に耐える素材にするという意味があります。
このことを利用して、廃材の中の廃材である「使えないステ耳」を「使えるステ耳」へ生まれ変わらせることはできないかと考えました。そのために、まず道具を作ることから始めることにし、撚糸道具「独楽撚り」の復元を行いました。
「独楽撚り」は、米沢藩では「づんぐり」と呼ばれ下級武士の仕事だったとの記録があります。現在では、和楽器弦を撚るために滋賀県の丸三ハシモトさんが行っているのが唯一のものです。
取材協力:米沢繊維協議会(山形)、鳥羽屋(京都)、稲垣機料(京都)
参考資料:『工藝』91号(1938)、『江戸時代初期の八丁撚糸機開発と縮緬の発達』田辺義一(2014)「日本染織発達史」角山幸洋 田畑書店(1968)

JOMON BANGLE
JOMON BANGLE
Completed: 2023
Material: Linen, Lacquer, Rice paste
Size: W40 D75, Inner circumference 235
JOMON BANGLE は染織作品の制作上やむを得ず発生してしまう端材糸と漆から作られる装身具です。
天平の仏像などに見られる漆芸の乾漆造技法を参考にして、縄に綯った端材糸を漆と米糊で接着、造形し、硬化後にさらに漆を塗り重ねました。漆の艶のある表面に僅かに縄模様が透けて浮かぶ独特の表情が魅力的です。
私は染織が専門分野ですが、工芸全般に興味関心があります。はじめは専門外である漆芸に手を出すことに躊躇いがありましたが、工芸の各分野を手仕事として俯瞰して捉えることで工芸分野の壁を飛び越えてつながり合い新たな工芸の地平を目指したいと思い制作を進めました。

KIMONO series 小夜
縫取織着物「小夜」
Completed: 2012
Material: Silk
Prize: 第65回埼玉県美術展覧会 埼玉県美術家協会賞受賞
夜空に舞う野薔薇と、陽射しの中咲く朝顔によって、 小夜という夜と朝の間の曖昧な時間帯を幻想的に表現した作品である。極細の未精錬絹糸をタテ・ヨコ 糸に使い、冬青の鉄媒染で明けゆく前の夜空の色を染め、冬青とコチニールのアルミ媒染で明るくなり 始めた地平線の色を染めた。
縫取糸には金糸、銀糸、紬糸など様々に染めた糸を入れ、浮糸を長く浮かせた部分と組織織によって馴染ませた部分で立体感や色の違いを多様に感じることができるよう工夫した。

JOMON BANGLE Package
JOMON BANGLE package
Completed: 2024
Material: waste paper
Size: W150 D150 H150
端材糸を使ったBANGLEを包むものに新しい紙を使ったパッケージは使えない。
ストーリーに沿ったパッケージを作るために、まずは紙を作ることにした。家庭から出る資源ゴミである紙類、数ヶ月分を一週間ほど水につけておくと糊が溶けて、内側のパルプ材だけを剥がすことができる。これをミキサーで細かくし、紙漉きの要領で木枠に流し込んで乾燥させる。
乾燥の過程で、縄文原体と呼ばれる縄を転がし、紙の表面に縄目をつける。これは縄文土器と同様に圧痕として、乾燥後も紙の表面に残り、JOMON BANGLEの縄目と静かにリンクする。
紙はできるだけ糊付けなどの加工を行わないよう、切り込みを入れた部分を折って重ねていくことだけで成り立つ構造になっている。両側が4枚重ねになることで運搬に対する強度もある。紙を漉く道具である木枠は、このパッケージのサイズに合わせて制作したため、仕立てる際に切り落とす部分はほとんどない。
素材である資源ゴミの様相によって一つ一つ色味が異なり、工芸品のように手間のかかるパッケージだが、包むだけでなく、その後もBANGLEの展示台として、オブジェとして身近に置いておきたくなる愛おしいものになった。

Weaving Christmas Tapestry
ワークショップ「スパイスで彩る Weaving Christmas Tapestry」
2023/12/03
@鎌倉 Casa de paño
鎌倉のクリエイティブスタジオCasa de pañoで植物を織物のヨコ糸として用いたワークショップを開催しました。
小枝を枠に見立て、麻紐でタテ糸をはり、ヒバやヒムロスギなどの針葉樹やプリザーブドフラワーをヨコ糸にして、ツリー型のタペストリーを織りあげました。針葉樹を織り込む手加減にみなさんの個性がでて、仕上がったタペストリーはどれも魅力的でした。
一越に入れる量は少なくても、密度高く織り込んだものは、まるで絨毯のように硬いテクスチャーに。一方で一越に入れる量を多めにして、ふんわり柔らかく織り込んだものは立体感ある仕上がりになりました。また、針葉樹の枝にも裏表があり、うまく表のふんわり立体感のある部分を表面に織り込めたものはより豊かな立体感が生まれていたように思います。ヒバは先の黄色い部分をうまく配色することで華やかな印象をもたせることができましたし、ヒムロスギはヒバよりも細かい枝葉なのでより密度高く織り込め、全体に柔らかい表情が生まれます。
フラワーコーディネーターの櫻井さんの視点には、多くのことを気付かされましたし分野をこえて一緒にものを作ることはものづくりの豊かさに気づく体験でもありました。

Open wrinkles -Square,Oblique,Grid-
Open wrinkles –Square,Oblique,Grid–
Completed: 2023
Material: Linen, Ramie
Size: W1800 H2300
Square,Oblique,Gridの3枚の布からなる作品。真っ白なラミー糸とグレイッシュなリネン糸を自然の色のまま使い織り上げた。
縫取り織という刺繍のように柄を縫取りながら平織りする織技法を用い、織り上げた後、お湯で揉んで 「シボ」と呼ばれる表面の凹凸を出した。シボとは 「シワ」でもある。シワを伸ばして立体を作る方法については、折り紙作家のポール・ジャクソンの書籍からヒントを得た。また、これは羽化した蝶の羽が伸び、花の蕾が開くように、自然が教えてくれる方法でもある。部分的にシボを伸ばして、建築構造における梁のように繋げたり、ザルなどの型を使って伸ばした部分を布海苔という海藻から作った糊で固 定した。
この糊はお湯で洗えば落とすことができ、何度でも新しい形にシボを伸ばすことができる。様々な工程を経て作られる布は、その工程ひとつひとつの中にアレンジする楽しさが潜んでいる。

New Harmony –Insect poop, Cedar, Pine–
New Harmony –Insect poop, Cedar, Pine–
Completed: 2025
Material: Silk yarn, Ramie yarn, Insect poop(7 types), Cedar, Pine
Size: W2000 D1000
昆虫のフンと針葉樹の間伐材で染めた布によって、昆虫と植物の関係を色彩で表現した。生き物たちが影響を与え合いながら調和しているこの世界を、重なり合い鱗のように広がる布片によって可視化した作品である。
タテヨコにラミー糸、縫取り織で絹糸を織り込み、一枚の布の中に染めつきの違いによるグラデーション効果を生み出した。色素の抽出方法や媒染方法を変化させることで1 種類のフンや植物から9 種の色を染め分けた。

Exhibition「素材へのまなざしと手仕事〜ステ耳study〜」
Exhibition「素材へのまなざしと手仕事〜ステ耳study〜」
2024/03/09 − 2024/03/10
@クリエイティブスタジオCasa de paño
https://www.casadepano.com/
入場料:無料
素材協力:光織物
企画・運営:クリエイティブスタジオCasa de paño
制作:染織作家 安部里香
展示会にいらしたお客さまに共通していたのは、「テキスタイル」「素材」「手仕事」への興味だったように思います。 興味の方向が同じ方々とゆっくりお話しできてとても有意義な2日間でした。
よくある企画展がメインで、そこに見合うワークショップを考えたのではなく、ワークショップメインで考えていたところから企画展へ発展させたという流れは、割と新鮮なのではないかと思います。企画展メインの構想では生まれなかった視点がたくさん盛り込まれた展示になりました。
わたしたちが光織物さんのステ耳という廃材に一目惚れして始まった一連の企画は、ストーリーや意味を大切にしながら言葉を選んだり構成を考えました。 廃材だったものに価値を与えることはとても素晴らしいことですが 社会にとっていい取り組みだからとか正しいことだからというような堅苦しいものにはしたくありませんでした。 ステ耳は単純に綺麗で可愛い。そこから生まれたチェアクッションもぬいぐるみのように愛おしい。 そんな素直な気持ち、正直な感想をわたしたちが共有していたことが展示の構成や内容に表れていたと思います。
本来捨てるはずだったものが、手仕事によって価値あるものになることは今の言葉でいうとアップサイクルですが、金継ぎや、刺し子、裂き織りのように社会にとっていいことだからとかサスティナブルだからとわざわざ言うまでもなく、単純にいいものであるから残ってきたし、これからも残るのでしょう。 共通しているのは民衆の知恵と、誰でもできる共有の手仕事であるということです。
わたしたちのステ耳studyのワークショップも目指すところはそのようなものなのかもしれません。

KIMONO series 君知るや かの国
縫取織着物「君知るや かの国」
Completed: 2017
Material: Silk
Prize: 第51回日本伝統工芸染織展 入選
青の濃淡だけでなく、緑や黄色の色糸をぼかし技法を用いて織り込むことで、濃密で複雑な色味に仕上げた。縫取織で南国の鳥と葉脈を思わせる柄を描き、 浮糸の絹が微かに光り、陽光が差し込んだような効 果を得ている。
ゲーテの長編小説『ヴィルヘルム・マイスターの修 行時代』の「ミニョンの歌」がモチーフである。
君知るや レモン花咲く国
暗き葉かげに黄金のオレンジの輝き
なごやかな風 青空より吹き
銀梅花は静かに 月桂樹は高くそびゆ
君や知る かしこ
彼方へ 彼方へ 君と共にいかまし



































